学校ブログ
灯火に親しみ、物語の行間を読む
「天高く馬肥ゆる秋」。食べ物も美味しいけれど、「灯火親しむころ」、読書を楽しむにもいい季節です。
今回、本校の図書委員会が推薦する一冊は、朱川湊人さんの『花まんま』。6篇を収めた短編集で、第133回(2005年)直木賞を受賞しました。その表題作『花まんま』が、昨年、鈴木亮平さん、有村架純さん主演で映画化されました。
「映画のラストシーン、妹の結婚式に感動しました」
図書委員のひとり(一年生)は、そう推薦の理由を話してくれました。映画で心を動かされたことが、原作を手に取るきっかけになったようです。
原作が幼い兄妹の不思議な体験を描くのに対し、映画では、その兄妹が大人になり、妹の結婚を迎えるまでへと物語が広げられています。
映画には映画のよさがあります。でも、本には、映像には映らないものがあります。
幼い妹がある日突然、自分は誰かの生まれ変わりだと言い始めます。そして、その「誰か」がかつて暮らしていた家を、兄と二人で訪ねる――。少し不思議で、少し怖くて、そして、とても切ないお話です。
とくに読んでほしいのは、兄の妹に対する、言葉にならない精一杯の気持ちです。作者は、それをすべて言葉にして説明してくれるわけではありません。書かれていないところを想像し、行間に流れている気持ちを感じる。
それができるのは、私たちが人間だからです。
秋の夜、少しだけスマホを置いて、物語を開いてみませんか。
注)朱川湊人さんは大阪生まれですが、小学3年生から足立区で育ち、直木賞を受賞した当時も足立区在住。足立区にとてもゆかりの深い作家です。
(校長 定野)
